「仕事をくれ、そうしないと死んでしまいそうだ…」
プロデューサーのリック・ルービンが握り直した受話器の向こうで、重くうちひしがれた声が聞こえた。
電話の主の最大の魅力でもある“低く艶のあるバリトンボイス”とは似て非なる渇いた声に、
リックはかける言葉も見つけられないまま頷くしかできなかった。
2003年5月15日、ジョニー・キャッシュの最愛の妻ジューン・カーター・キャッシュが天国に旅立った。
程なくしてジョニーとリックの二人はスタジオに籠りアルバム制作に没頭する。
ジョニーは喪失の悲しみと真正面から対峙しながら、自らの人生、そしてキャリアのすべてをそこに刻み込むかのように歌った。
そしてジューンの死から僅か120日後、彼女を追うようにジョニーも逝った。
正真正銘、最後のレコーディングとなったこの『American 5: A Hundred Highways』は、
2006年7月4日のアメリカ独立記念日に発売され、全米初登場No.1を獲得した。
このアルバムにはジョニーが死の数日前に書き上げ、最後に歌ったオリジナル曲「Like The 309」が収録されている。
それはまるで自分の死に対する餞(はなむけ)のような内容だった。
もうじき死神ってやつに会うことになるだろう
309(汽車)に乗ってここから出て行くのさ
彼の死後、同アルバムに収録された※「God’s Gonna Cut You Down」という曲で※追悼のPVが制作された。
キース・リチャーズ、ジョニー・デップ、カニエ・ウェスト、デニス・ホッパー、シャロン・ストーン、クリス・クリストファーソン、イギー・ポップ、パティ・スミス、ボノ (U2)、シェリル・クロウ、ミック・ジョーンズ (The Clash) 、Jay Zなど※ジャンルや世代を超えた総勢37名の豪華な出演者による圧倒の映像が話題を集め、50thグラミー賞<Best Short Form Music Video>を受賞した。
作品に登場する出演者全員が黒い服をまとい“Man In Black”ことジョニー・キャッシュに敬意を表した。
リックはこのアルバムのライナーノーツに短いメッセージを書き記し、約10年間にも及んだジョニーとのレコーディングセッションにピリオドを打った。
「ジョニーの人間的な深遠さと智慧はいつも私に謎をかけ、夢中にさせた。
彼を知ることによって、私の人生がどれほど良くなったかは測り知れない。
願わくば、ここに収められたジョニーの語る物語のコレクションが
私の心と同じようにあなたの心も動かしてくれますように…。」
奇跡のような最後のレコーディングは、あの一本の電話から始まった。
『American 5: A Hundred Highways』/ジョニー・キャッシュ(2006/American Recordings)
「ずっと走ってろ!ずっと走ってろ!教えてやろう、今に神はお前を見離すだろう
あの嘘つきに教えてやれ! あの浮気者に教えてやれ!
ばくち打ち、浮浪者、陰口叩きに教えてやれ!今に神は お前達を見離すだろう」
作者不明のこの強烈なトラディショナルソングを、女性歌手オデッタが歌ったのが1956年の事。彼女は、政治的なメッセージを持った最初のアフリカ系アメリカ人として注目を集めた人物。その後、ジョニーともレーベルメイトだったエルビス・プレスリーが人気絶頂の1967年に「Run On」という別タイトルでカバーし広く知られる事となる。
※追悼のPV
監督は、レッド・ホット・チリペッパーズの「Dani California」のミュージックビデオを手がけているトニー・ケイ。CMやミュージックビデオなどで経験を積んだのち、1998年のネオナチを描いた映画『アメリカン・ヒストリーX』を監督したことで知られている。
※ジャンル・世代を超えた総勢37名の豪華な出演者
<出演者リスト>
・ イギー・ポップ
・ カニエ・ウェスト
・ クリス・マーティン (Coldplay)
・ クリス・クリストファーソ
・ パティ・スミス
・ テレンス・ハワード (俳優)
・ フリー (Red Hot Chili Peppers)
・ Q-Tip
・ アダム・レヴィーン (Maroon 5)
・ クリス・ロック (俳優)
・ ジャスティン・ティンバーレイク
・ ケイト・モス (モデル)
・ Sir Peter Blake
・ シェリル・クロウ
・ デニス・ホッパー (俳優)
・ ウディ・ハレルソン (俳優)
・ エイミー・リー (Evanescence)
・ トミー・リー (Motly Crue)
・ Dixie Chicks
・ ミック・ジョーンズ (The Clash)
・ シャロン・ストーン (女優)
・ ボノ (U2)
・ シェルビー・リン
・ アンソニー・キーディス (Red Hot Chili Peppers)
・ トラヴィス・バーカー (Blink 182)
・ リサ・マリー・プレスリー
・ キッド・ロック
・ Jay Z
・ キース・リチャーズ (The Rolling Stones)
・ ビリー・ギボンズ (ZZ Top)
・ コリーヌ・ベイリー・レイ
・ ジョニー・デップ (俳優)
・ ブランドン・フラワーズ (The Killers)
・ グラハム・ナッシュ
・ ブライアン・ウィルソン (The Beach boys)
・ リック・ルービン
・ オーウェン・ウィルソン (俳優)
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。
【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2021”秋冬】
9月11日(土)金沢JealousGuy
9月12日(日)富山(高岡)GOOD FELLOWS
9月17日(金)北海道(恵庭)Mojo Hand
9月18日(土)北海道(札幌)SALINAS
9月19日(日)北海道(苫小牧)M’s Garden
9月22日(水)北海道(札幌)LOG
10月3日(日)新潟Live Bar Mush
10月8日(金)東広島pasta amare
10月9日(土)山口(下関)T-Gumbo
10月10日(日)福岡(雑餉隈)@-yaya GARAGE
10月16日(土)茨城(古河)Live studio音出事
10月23日(土)吉祥寺Rock Joint GB
10月30日(土)福岡Public Bar Bassic.
10月31日(日)熊本(八代)bar 7th chord
11月3日(水・祝)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
11月7日(日)徳島 デラシネ
11月12日(金)小倉Bar Disa
11月13日(土)広島OK鉄板
11月14日(日)大分(宇佐)音小屋REBOOT
11月19日(金)仙台 ホームラン酒場
11月20日(土)二戸FREED
11月21日(日)八戸FLAT
11月22日(月)青森 Be on space222トラスト
11月23日(火・祝)秋田カウンターアクション
11月27日(土)下北沢ニュー風知空知
12月3日(金)名古屋ローリングマン
12月4日(土)岡山Desperado
12月5日(日)大阪 大きな輪
12月11日(土)福岡NIKAI
12月12日(日)大牟田 陽炎
12月18日(土)所沢 MOJO
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