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ジェフ・ベック27歳〜第2期ジェフ・ベック・グループの結成、R&B・ジャズ・ファンクなど幅広い音楽性を取り入れた秀作『Rough and Ready』

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1969年11月2日、ジェフ・ベック(当時24歳)はカスタムメイドのT型フォードを運転中にロンドン南30マイルのメイドストーンで交通事故を起こし重傷を負い、3ヶ月の入院を余儀なくされる。
この出来事により、当時ヴァニラ・ファッジのティム・ボガート、カーマイン・アピス、そしてロッド・スチュワートと組もうとしていた新バンドの構想は白紙となってしまう。
1971年、ジェフが27歳を迎える年に新たなターニングポイントがやってきた。
怪我を完治させたジェフは新たなメンバーを集め、第2期ジェフ・ベック・グループを結成する。


ドラマーにコージー・パウエル、ベースにクライヴ・チャーマン、キーボードにマックス・ミドルトン、ボーカルにボビー・テンチという顔ぶれだった。
コージー・パウエルは当時のことを鮮明に憶えていた。

「まず適任のベースプレイヤーを探すのに一年近くかかったよ。ジェフはモータウンのスタイルのベースを弾ける奴を探していたんだ。だけどジェフも僕も、その頃はサウンドの方向性を整理できていなかった。そこにクライヴが現れたんだ。彼は本当に理想的だったよ。」


当時、クライヴ・チャーマンはキャット・スティーヴンスと仕事をしていた黒人ベーシストで、ジェフは彼の演奏をこんな言葉で表現した。

「彼はジェームス・ジェマーソン風のベースラインが弾ける男だ。」


次に加入したのはキーボードにマックス・ミドルトン。
当時25歳だったマックスは、港湾労働者として働いていた男だった。
マックスは加入当時のことを憶えていて、こんな風に語っている。

「初めてリハーサルに入った時、ジェフは壁際に座ってギターを弾いていた。俺がスタジオの中に入っても顔を上げなかったよ。正直良い印象ではなかった。でも演奏を始めた瞬間、もの凄いパワーを感じたんだ。俺はすぐにジェフのプレイが大好きになった。スタジオを出る時にジェフが俺に“今度一緒にレコードを作らないか?”と言ってくれたんだ。それが始まりさ。」


最後に加入したのはボーカルのボビー・テンチだった。
所属していたレコード会社(CBS)の強い要望により、もともと決まっていたアレックス・リガートウッドがバンドから外されることとなり、そこに新たに加わったのがボビー・テンチだった。
ボビーは、トリニダード・トバゴ(カリブ海の小アンティル諸島南部に位置するトリニダード島とトバゴ島の二島と属領からなる共和制国家)出身の男で、60年代のはじめにロンドンに移住し、ブルース/プログレッシヴロック/ラテンを取り入れたバンドで活動しながら、ジミ・ヘンドリックスやアニマルズのエリック・バードンとの共演経験を持つ実力派の黒人ヴォーカリストだった。
当時ジェフは彼のことをこんな風に評価している。

「ボビーはピアノもギターも弾ける一級のシンガーでありミュージシャンだった。彼の枯れた声はウィルソン・ピケットやテンプテーションズのデヴィッド・ラフィンを彷彿とさせ、当時俺が目指していたソウルフルな方向性と合致したんだ。」


1971年7月、つまりジェフが27歳を迎えた翌月からロンドンのアイランドスタジオでレコーディングは始まった。
第2期ジェフ・ベック・グループのメンバーの中には、当時まだ“ロックスター”との仕事に慣れていない者もいたという。
キーボードのマックス・ミドルトンは、こんなエピソードを憶えていた。

「俺は朝9時にスタジオに入ってスタンバイしていたんだ。みんないつ来るだろう?と思っていると…夕方の7時くらいになって集まり始めるんだ。ジェフがローディーに飯を買いに行かせて、みんなで夕食を食べる。食後にジェフが言うんだ。“なんか疲れたからスピークイージー(酒場)に行かない?”ってね。これが3日も続いたね。もちろん最終的には重い腰を上げたけど、当時は“これがプロのミュージシャンの仕事のやり方なんだ”と驚いたよ。」


ボーカルのボビー・テンチも同様に混乱していたという。

「曲のサイズが決まってオケが完成するタイミングなんてジェフにしかわからないから、歌う直前に歌詞を乗せたり、歌入れをやる時間なんて本当に短い時間だった。荷が重いなんてもんじゃなかったよ(笑)」



第2期ジェフ・ベック・グループは同年の10月に北米で発売となったアルバム『Rough and Ready』でデビューを飾った。
ジェフはこのアルバムについてこんなことを語っている。

「とても適切なタイトルだね。ファンクとソウルのグルーヴをR&Bとジャズのメロディーに打ち付け、その中で自由にギターをプレイしたアルバムなんだ。当初は散漫な印象で、ファンには期待外れな作品に思われたりもしたんだ。だけど、幅広いジャンルを取り入れたからこその稀に生まれる予想外の輝きがあるってことさ。」


『Rough and Ready』は、ジェク・ベックをブルースロックの束縛から解放したアルバムだった。
彼がこのアルバムで使用した1954年製のストラトキャスターと、トレブルの効かせたマーシャルアンプのから放たれるギターサウンドはエネルギーとパワーに満ちていた。
リリース後、イギリスで行われた短期ツアーも大好評だった。
バンドはレコーディングの時よりも、より一層ハードでヘヴィーな演奏を披露し、ジェフは当時現存したギタリストの中でも一馬身先を行く存在であることをオーディエンスに見せつけた。
ジェフは当時のことをこんな風に語っている。

「俺は俺であってそれは変えられない。間違いなく良いバンドだったけど、世界で一番ってわけじゃない。ポシャりたくはなかったけど、長続きするとも思ってなかった。あの頃の俺は音量よりも音楽の持つパワーを求め初めていたんだ。」





<引用元・参考文献『ジェフ・ベック ―孤高のギタリスト[上] [下]』マーティン・パワー(著)細川真平(監修)前むつみ(翻訳)/ヤマハミュージックメディア>


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“ちょっと長い関係の歌旅2021”】


2月20日(土)福岡 Bassic.  
2月21日(日)札幌 Beggars Harlem 
2月27日(土)新潟 Live Bar Mush
2月28日(日)下北沢 Laguna(限定20名入場可+配信ライブ)
3月12日(金)久留米 農と音
3月13日(土)熊本・八代 7th chord 
3月14日(日)大牟田 陽炎
3月16日(火)行橋 Memphis
3月18日(木)東広島 pasta amare  
3月19日(金)大阪 新世界ヤンチャーズ
3月20日(土)静岡・御前崎 Cook House椿
3月21日(日)名古屋 ROLLINGMAN
4月2日(金)仙台 ホームラン酒場  
4月3日(土)山形 ヱレキ酒場オリハント 
4月4日(日)秋田 カウンターアクション 
4月8日(木)長崎 R-10 
4月10日(土)和歌山 OLD TIME
4月11日(日)所沢 音楽喫茶モジョ 
4月12日(月)横浜 Bar Take’s
4月15日(木)小郡 ジラソーレ〜8周年記念スペシャルライブ〜
4月16日(金)愛媛 スタジオOWL
4月17日(土)徳島 デラシネ
4月18日(日)高知 A’bar
4月21日(水)福岡 Bassic.(限定15名入場可+配信ライブ+TOUR総括スペシャルトーク&スライドショー)


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【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2021”春夏】


5月1日(土)岡山Desperado 
5月2日(日)島根(出雲)Bar Soul  
5月3日(月・祝)鳥取(米子)シンワンメイク
5月4日(火・祝)昼-鳥取(米子)スナックCandy  
5月4日(火・祝)夜-鳥取(米子)LiveたちQ赤ラベル
5月8日(土)山口(下関)T-Gumbo 
5月9日(日)福岡(みやま)柿原酒店 
5月16日(日)茨城(水戸)音食座敷 開化亭
5月22日(土)青森Be on cafe 222  
5月23日(日)盛岡FEELGOOD 
5月28日(金)京都 夜想
5月29日(土)兵庫(宝塚)IL grazie
5月30(日)八幡DELSOL café
6月5日(土)広島OK鉄板
6月6日(日)佐賀LIVE BAR雷神 
6月12日(土)埼玉(新座)エアストリームカフェ
6月13日(日)新潟(三条)Gallery Bar Veronica 
6月25日(金)群馬(前橋)Cool Fool 
6月26日(土)東京(高円寺)MOONSTOMP
6月27日(日)埼玉(川越)大黒屋食堂  
7月3日(土)田川Diamond Moon
7月4日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis 
7月6日(火)福岡(薬院)遊来友楽 
7月10日(土)熊本(八代)bar 7th chord
7月11日(日)山口(柳井)みんなの広場 Live Village 
7月16日(金)蒲郡Chot Bar VOODOO LOUNGE
7月17日(土)名古屋 喫茶ニューポピー 
7月18日(日)浜松(弁天島)LIVE & DISCOマルガリータ 
7月24日(土)群馬(渋川)Casa Midori 
7月30日(金)岩手(宮古)カントリーズcafe
7月31日(土)岩手(二戸)HOUSE OF PICNIC 
8月1日(日)秋田(能代)ハックルベリー 
8月3日(火)小郡 ジラソーレ 
8月7日(土)群馬(下仁田)otenki食堂
8月21日(土)久留米 農と音
8月22日(日)山口(萩)玉ネギ畑  
8月23日(月)東広島pasta amare
8月27日(金)福岡 Bassic. 
8月28日(土)LIVE BAR雷神
8月29日(日)大牟田 陽炎


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人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
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