「人からとやかく言われてやっている仕事や生き方ってのは僕にはちょっと…。やっぱり自分との闘いみたいなものでやった仕事に価値があると思いますねぇ。」
<1975年6月12日号『GORO』インタビュー記事より>
1975年6月1日、井上陽水は吉田拓郎・小室等・泉谷しげると共にフォーライフレコードを設立する。
それは彼が27歳を迎えた年の出来事だった。
その年の秋に、彼は「青空、ひとりきり」という歌をリリースした。
そのレコード会社の誕生は、日本の音楽史上において初とも言える“画期的”な出来事だった。
従来の体制では「契約される」立場だったアーティストが、主導権を持って「契約する」側となる。
それは、つまり“アーティストが経営する会社”だった。
日本中の音楽ファンが見守る中、小室等を初代社長に社員わずか30数名のレコード会社はスタートを切った。
当時、フォーライフに対する大手レコード業界からの圧力は凄まじく、小売店への販売ルートからプレス工場にいたるまでことごとく苦境に立たされたという。
だが、この新しいレコード会社にはメジャーにはない斬新さを追求する若い熱気が溢れていた。
産声をあげたばかりのフォーライフは、その直後に日本の音楽史を塗り替える空前のビッグイベントを経験する。
今や伝説として語り継がれる、かぐや姫との“つま恋コンサート”である。
数万人が詰めかけた野外ステージ、しかもオールナイトライブ…それは、何もかもがそれまでの常識をくつがえす度肝を抜くイベントだった。
このフォーライフの設立にはこんな経緯があったと言われている。
後の社長となる後藤由多加(当時、ユイ音楽工房の社長)と吉田拓郎は、前年にボブ・ディランのコンサートを観に渡米した際にアメリカの音楽業界の仕組みを知ることとなる。
そこで二人はウッドストックのような大型フェスや、自分達のレーベルを持つという夢を語り合ったという。
時を同じくして「小室等さんがレコード会社を作るなら出資する!」という提案が、小室の事務所に持ち込まれていた。
小室はその話を拓郎に持ちかけることで計画を具体化していった。
拓郎は当時を振り返りながらこう語る。
「小室さんと僕とが最初二人で色んなことを練ってたんですよ。その時に“拓郎、お前は泉谷に電話しろ、俺は陽水に連絡するから”という小室さんの一言で決まったんです。皆さんが思ってられる通り、彼が言い出しっぺですよ(笑)」
では、拓郎から連絡を受けた泉谷はどう思っていたのだろう?
「どうかなぁ〜(あの仕掛人は)やはり拓郎でしょう!全部ああやって盛り上げて“面白いことやろう!”って言うのはだいたい彼ですからね。ほとんど相手に有無も言わせずに相づちをうたせる感じでネ(笑)あの熱っぽい勢いでやられちゃうと、みんな“うん!”って言っちゃうのよ(笑)彼にはそういうパワーがありましたね。あの計画を陽水が計画するなんで考えられないわけで(笑)」
そんな陽水は前年(1974年)の10月にホリプロから独立して“なかよしグループ”というプロダクションに所属していた。
当時、それまで在籍していたポリドールレコードとの契約更新の時期とも重なっていた。年間アルバムチャートの1位を3rdアルバム『氷の世界』が獲得し、それまでリリースしたアルバムすべてがベスト10に入るという人気ぶりだった。
一方、拓郎もまた在籍していたCBSソニーと同じような時期にあった。
シングル「襟裳岬」で1973年度のレコード大賞を受賞し、陽水と共にミュージック界の頂点を極めていたのだ。
小室等は当時を振り返りこう語る。
「二人とも“ただ追い風に乗っている”という感じではなかったと思います。むしろ“何かしなきゃ!”という状況だったでしょうし(フォーライフ設立にあたって)勝算なんてなかったですよ。設立記者会見で、もの凄い数のカメラがあって“なんじゃこりゃ!”という感じでしたから(笑)」
そして陽水本人も当時のことをこんな風に振り返っている。
「当時、僕のレコードがたくさん売れてくれて…そうなってくるとね、そのことに対してあまりありがたいって思わなくなってきたんですね。それで“もっと面白いことないかなぁ〜”なんて思ってて、その時に友達の小室等から連絡が来て“拓郎や泉谷と一緒にレコード会社作らない?”ってね。いいね〜面白そうだね〜って感じでしたよねぇ。」
1975年6月1日、井上陽水は吉田拓郎・小室等・泉谷しげると共にフォーライフレコードを設立し、その年の秋に「青空、ひとりきり」という歌をリリースした。
<参考文献『井上陽水 FILE FROM 1969』/TOKYO FM出版>
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